きのことベーコンの風味を最大限に引き出すための調理手順には、守るべき厳格な鉄則があります。調理現場でシェフが実践している基本工程を紐解きます。
第1の工程は、ベーコンの脂(ラルド)を低温で抽出することです。冷たいフライパンにオリーブオイルまたは少量の油を引き、短冊切りにしたベーコンを入れて極弱火にかけます。最初から強火で炒めると表面だけが焦げて脂が溶け出さず、パスタ全体にベーコンの燻煙香とコクが行き渡りません。じっくりと時間をかけて透き通るような脂を引き出し、カリッとした食感に仕上げるのがポイントです。
第2の工程は、きのこを投入した直後は「絶対に触らない」ことです。ベーコンから出た旨味たっぷりの脂を吸わせるようにきのこを広げたら、中強火にして1分〜1分半ほど放置します。頻繁に菜箸で混ぜ返すとフライパンの表面温度が下がり、きのこから水分が染み出して「炒め物」ではなく「煮物」の状態に陥ってしまいます。しっかりと焼き色(メイラード反応)をつけて香ばしさを引き出してから裏返し、短時間で一気に火を通します。
きのこの品種ごとの特性を活かした下処理も重要です。しめじ ベーコン パスタを作る際は、しめじの石づきを落として小房に手で細かく裂くことで、断面の表面積が増えてベーコンの脂が絡みやすくなります。一方、エリンギ ベーコン パスタでは、縦に手で割くか乱切りにすることで、まるでアワビのようなコリコリとした弾力と歯切れの良さが際立ちます。舞茸や椎茸を少量ブレンドすると、グアニル酸の濃度がさらに高まり、専門店の深い味わいに近づきます。