日本語の漢字表記を整理すると、英語の動詞選びは一段と明快になります。それぞれの漢字が持つ役割と、対応する英単語の守備範囲を整理してみましょう。
1つ目の「聞く」は受動的な知覚であり、英語のhearが該当します。「隣の部屋から声が聞こえた(I heard a voice from the next room.)」のように、無意識に感覚器へ届く音を処理するニュアンスです。
2つ目の「聴く」は注意深い傾聴であり、英語のlistenを用います。「講義を集中して聴く」「音楽を味わいながら聴く」といった、対象に意識を集中させる場面で真価を発揮します。
そして3つ目の見落とされがちな表現が、質問や尋ねる意味を持つ「訊く(問う)」です。日本語では「彼に道を聞いた」と言いますが、この場合の英語はhearでもlistenでもなく、askを選択しなければなりません。「I asked him for directions.」と表現するのが正解であり、もし「I listened to him」としてしまうと「彼の説教や講話を拝聴した」という全く異なる意味合いになってしまいます。