今回のメンバー選考に至るまでの道のりは平坦ではありませんでした。ワールドカップ南米予選順位と試合日程を振り返れば、ブラジルはアウェーでのウルグアイ戦やホームでのアルゼンチン戦で歴史的敗北を喫し、一時は予選敗退圏内を彷徨う異常事態に直面しました。
当時のSNSやネット掲示板(5chやX)では、「もはや王国ではない」「セレソン史上最弱の世代」「個人技のJoga Bonito(美しいサッカー)は完全に死んだ」といった辛辣な批判が吹き荒れました。サポーターの間では、欧州戦術の浸透によってブラジル人特有の創造性が奪われたのではないかという疑念が渦巻いていたのです。
しかし、現場を取材するジャーナリストたちの間では、予選中盤以降のロッカールームにおける自浄作用が高く評価されています。キャプテンシーを発揮したマルキーニョスを中心に選手だけの緊急ミーティングが幾度も持たれ、「ブラジルらしさという幻想に甘えるのをやめ、泥臭く走り勝つ集団になる」という共通認識が確立されました。予選終盤で見せた堅守速攻のキレは、サポーターの懐疑論を歓喜へと変えるに十分な説得力を放っています。