父親の素性を巡る報道やネットの言説には、法的な知識不足や偏見から生じる多くの誤解が存在します。読者が知っておくべき代表的な3つの盲点を整理します。
誤解1:認知を拒否されたら養育費は一円も請求できない?
これは明らかな誤解です。父親が任意認知を拒んだとしても、母親側から家庭裁判所に「認知請求の訴え」を起こし、判決で父子関係が確定すれば、過去に遡って養育費を請求することが可能です。認知調停の申し立てと同時に養育費請求の申し立てを行うのが実務上の標準手続きとなっています。
誤解2:ネット上で「父親候補」を名指ししても、噂レベルなら法に問われない?
極めて危険な認識です。2025年以降、情報流通プラットフォーム対処法の運用や名誉毀損・プライバシー侵害に対する司法判断は厳罰化の一途をたどっています。「確証はないがネットで噂されている」という文脈であっても、無関係の男性を名指しして父親であるかのように書き込む行為は、民事上の高額な損害賠償請求および刑事告訴の対象となります。実際に発信者情報開示請求が迅速化された結果、一般ユーザーが数百万円の賠償を命じられる判例が相次いでいます。
誤解3:認知されると父親に親権を奪われる恐れがある?
未婚で出産した場合、法律上の親権は母親の単独親権となります。父親が子どもを認知したとしても、自動的に共同親権になったり父親に親権が移ったりすることはありません。父親が親権者になるためには、父母の協議による届出、または家庭裁判所の調停・審判が必要であり、母親が適切に養育している限り、母親の意に反して親権を奪われる可能性は実務上ほぼ皆無です。