文字と余白の精密な配置を追求するデスクトップパブリッシング(DTP)の世界と、誰もが手軽に扱える事務用ソフトの思想には、根本的なギャップが存在する。WordのベースとなるOffice Open XMLの仕様書を紐解くと、行の高さはフォントが内部に持つアセンダー(文字上部の余白)やディセンダー(文字下部の余白)のメトリクス情報に強く依存している。
特に日本語フォントと欧文フォントを同一行内で混在させた場合、それぞれのフォントファイルが持つベースライン情報が衝突し、システムが安全マージンを過剰に確保しようとする。結果として、視覚的には不恰好な隙間が生まれるのだ。
DTPソフトのような厳密なレイアウトエンジンを持たないワープロソフトにおいて、マイクロソフトのエンジニアたちは「文字の欠損を防ぐ安全性」を最優先に設計してきた。その親切設計の副作用こそが、ユーザーを悩ませる行間肥大化の正体である。