事態の真相を確かめるべく、我々は現場周辺で粘り強い聞き込みを行った。噂の渦中にある「未公開作品の流出説」だが、結論から言えば、それは単なる第三者による悪質なデマではなかった。関係者によると、進行中の国際共同制作プロジェクトにおいて、編集途中のプレビュー映像が一時的に関係者専用サーバーへアップロードされた際、セキュリティログにアクセス試行が記録されたのだという。
幸いにも決定的なデータ流出は防がれたものの、そのプレビュー映像こそが、世界の映画ファンが固唾をのんで解禁を待つ超大型企画だった。この事件をきっかけに、拠点である藤井 ビル内のセキュリティ体制は厳戒態勢へと移行。防音・防犯が徹底されたスタジオ内では、連日連夜、極秘の試写とミーティングが繰り返されている。関係者が異口同音に口にするのは、「これまでにないスケール感」という言葉だ。