狸小路4丁目の景観を一変させた最大の要因は、南2西3南西地区市街地再開発事業による「moyuk SAPPORO」の完成です。かつてこの場所には、1962年に開業し半世紀以上にわたって親しまれた「サンデパートビル」が佇んでいました。そうご電器や大型書店、老舗の喫茶店が並び、待ち合わせの定番スポットとして市民の記憶に刻まれていた場所です。
関係者への取材によると、建物の老朽化と耐震性の問題が浮上した当初は、権利関係の複雑さから事業計画の合意形成に10年以上もの歳月を要したとされています。単なる商業ビルの建て替えにとどまらず、地上28階建ての超高層複合ビル(上層部はライオンズタワー札幌)として再生する計画が具体化した際、古くからのテナントの移転や立ち退きを巡っては激しい議論が巻き起こりました。「昭和の情緒が失われ、無機質なビル群に飲み込まれるのではないか」という地元商店主たちの強い懸念が存在したことも事実です。
実際、かつて界隈を支えたディスカウント店やパチンコ店、一部の個人商店は近隣の3丁目や5丁目、あるいは大通・すすきの周辺へと移転を余儀なくされました。しかし、完成したモユクサッポロは、地下街「ポールタウン」から地上フロア、さらには屋上庭園へとつながる開放的な動線を構築。結果として、旧来の商店街が抱えていた「冬場の寒さや悪天候による客足の鈍化」という構造的課題を劇的に解決することに成功したのです。