そもそも、なぜ世界中で「薬指=結婚」という強固な共通認識が定着したのでしょうか。その原点は、紀元前の古代エジプトの血管の伝説に遡ります。
当時の解剖学的な信仰において、左手薬指には「Vena Amoris(ヴェナ・アモリス=愛の静脈)」と呼ばれる太い血管が通り、感情や魂の宿る場所である「心臓」へと一直線に直結していると信じられていました。心臓に最も近い指に切れ目のない円である指輪をはめることで、相手の魂を繋ぎ止め、スピリチュアルな絆と愛を永遠に封じ込めるという誓いの儀式が、結婚指輪の由来の根底にあります。
その後、9世紀にローマ教皇ニコラウス1世が指輪を婚姻の公的な証拠として認めたことで、キリスト教圏を中心にヨーロッパ全土へ普及。日本には明治時代後半の西洋文化流入とともに伝わり、大正から昭和初期にかけて一般家庭へと定着しました。近年では、日常的に身に着ける結婚指輪に華やかなダイヤが輝くエンゲージリングを重ねる婚約指輪との重ね付けスタイルも定番化し、薬指を彩る文化は時代とともに洗練され続けています。