なぜ黒電話は停電でも繋がる?昔の電話の仕組みと進化の歴史を徹底解剖

なぜ黒電話は停電でも繋がる?昔の電話の仕組みと進化の歴史を徹底解剖

なぜ黒電話は停電でも繋がる?昔の電話の仕組みと進化の歴史を徹底解剖とはどんな影響があるのか? 主要なファクトを丁寧に紐解いて紹介します。

日本の電話の歴史は、1889年(明治22年)に東京と熱海の間で行われた長距離通話実験の成功に端を発します。翌1890年(明治23年)12月16日、東京・横浜間で本格的な電話創業が果たされた際に採用されたのが、木製キャビネットに収められたデルビル磁石式電話機でした。

この時代の電話のかけ方は、現代の直感的な操作とは大きく異なっていました。筐体の横にある小さなハンドルを手動でぐるぐると回転させることで、内部の磁石発電機が交流電流を発電し、電話局にいる「交換手(電話交換手)」を呼び出す仕組みです。受話器を取ると、交換手が「もしもし、何番ですか」と応答し、利用者が告げた相手の番号を聞いて、手元のコード(プラグ)を該当する中継ジャックへ手作業で差し込むことで初めて通話が成立しました。

なお、電話の第一声として定着した「もしもし」は、黎明期の交換手が「申し上げます、申し上げます」と呼びかけた丁寧語が徐々に短縮された名残であることが、逓信省の公式記録や当時の証言資料からも裏付けられています。

大正末期から昭和初期にかけて導入が始まったのが、人間の手を介さず自動的に回線を接続する「ステップ・バイ・ステップ交換機」と、それに呼応するダイヤル式電話機です。ダイヤル式の仕組みは、極めて巧妙な機械式パルス発生器でした。受話器を上げて指穴に指を入れ、金属のストッパー(指止め金具)に当たるまで時計回りに回して指を離すと、内部のガバナー(調速器)が一定の速度を保ちながら元の位置へと逆回転します。

この戻る過程で、電話回線の電気回路をカチカチと細かく遮断(ブレーク)し、断続的な電気信号(パルス)を発生させます。たとえば「1」を回せば1回、「5」なら5回、「0」なら10回回線が瞬断され、その回数を電話局の機械式交換機が読み取って相手の回線へと物理的なギアを動かして接続していたのです。指を無理やり速く押し戻すと信号の間隔が狂い、交換機が番号を誤認して間違い電話になるため、「指を離して自然に戻るのを待つ」ことが当時の利用者に求められた必須の作法でした。

中島 亮太
著者

中島 亮太

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。