浴室の壁付サーモスタット水栓の交換は、一見するとシンプルなねじ込み作業に思えます。しかし、そこには水道設備士が徹底して叩き込まれる物理的セオリーが存在します。順を追って浴室サーモスタット混合栓の交換手順を紐解いていきましょう。
交換は大きく分けて「撤去」「下地清掃」「シールテープ施工」「本体取り付け」「通水テスト」の5ステップで進行します。
古い混合栓の本体ナットをモーターレンチで緩めて本体を取り外したら、壁に残った「偏心管(クランク)」を反時計回りに回して取り外します。偏心管が外れたら、壁内の給水管の雌ネジ部分を覗き込んでください。ここには十数年分の劣化したシールテープのカスや赤錆がびっしりと固着しています。これらを真鍮ブラシで徹底的に清掃します。ゴミが残ったまま新しい水栓をねじ込むと、異物を噛み込んで微細な隙間が生まれ、必ず後から水漏れを引き起こします。
そして、全工程の中で最も技術的な精度が問われるのがシールテープの巻き方のコツです。失敗しないための絶対原則は次の3点に集約されます。
- ネジの先端1山を必ず空ける:ネジの先端からテープを巻いてしまうと、締め込んだ際にちぎれたテープ片が配管内に入り込み、サーモスタットカートリッジやシャワーのストレーナーを詰まらせて故障の原因になります。
- 時計回り(ネジの締め込み方向)に強めのテンションをかけて巻く:ネジを正面から見て時計回りに、テープを軽く引っ張ってネジ山の溝に密着させながら6回〜8回ほど巻き付けます。巻きが緩いとねじ込み時にテープがズレてシール機能を果たしません。
- 指の腹でネジ山にしっかり圧着させる:巻き終わったら、テープをちぎり、指の腹でネジ山の溝に馴染ませるように強く押し込みます。
テープを巻いた偏心管を壁の配管にねじ込む際は、いきなり本体をつけず、まずは手でスムーズに入っていくか確認しながら左右とも「ハの字」の状態まで回し込みます。ここから本体を仮留めし、八の字から「への字」へと広げるように調整しながら水平を出していきます。