シン・ユビン選手を語る上で欠かせないのが、日本女子卓球のエースたちとの宿命のライバル関係です。2024年のパリオリンピックにおいて、彼女が演じた2つの戦いは世界中のスポーツファンを釘付けにしました。
準々決勝で相見えた平野美宇選手との一戦は、卓球史に残る死闘となりました。序盤からシン・ユビン選手が3ゲームを連取して王手をかけるも、平野選手が驚異的な集中力で3ゲームを奪い返し、勝負は最終ゲームのデュースへもつれ込みます。マッチポイントが目まぐるしく入れ替わる極限状態の中、最後はシン・ユビン選手が辛くも勝利を掴み取りましたが、試合後にコート上で流した涙は、プレッシャーの凄まじさと相手への敬意を物語っていました。
そして迎えた銅メダル決定戦の相手は早田ひな選手でした。左腕の負傷を抱えながら気迫で立ち向かう早田選手に対し、シン・ユビン選手も持てる技術のすべてをぶつけ合いました。結果は早田選手の勝利。メダルを逃した瞬間、シン・ユビン選手は悔しさを押し殺し、歓喜の涙を流す早田選手のもとへ歩み寄って温かい抱擁を交わしました。
試合後のミックスゾーンで彼女が語った「ひな選手は本当に素晴らしい選手。彼女の努力と情熱に心から拍手を送りたい」という言葉は、勝敗を超越した崇高なスポーツマンシップとして世界中から絶賛を浴びました。ライバルを讃え、自らの敗北を潔く受け入れる人間性こそが、彼女が日本でも深く愛される最大の理由です。