世間に流布する体型情報の多くには、商業主義や無知から生まれた誤解が多分に含まれています。特に警戒すべきは、ソーシャルメディア上で無責任に拡散される「シンデレラ体重」や「モデル体重」の危険性です。
雑誌やランウェイで活躍するプロのファッションモデルは、綿密に計算された栄養管理とハードな筋力トレーニングを専属トレーナーとともに行っています。外見上は細く見えても、インナーマッスルと骨格は強靭に鍛え上げられているケースがほとんどです。これに対し、一般人が単純に食事制限だけでその数値を模倣しようとすれば、失われるのは脂肪ではなく生命維持に必要な筋肉と骨です。
ネット言説で最も欺瞞に満ちているのが、「太ることは悪、細いことは自己管理の証」という固定観念です。臨床栄養学の観点から見れば、飢餓状態を自ら作り出す行為は自己管理の破綻に他なりません。十分な栄養を取り込み、日々の活動エネルギーを十全に発揮できる肉体を維持することこそが、真の意味でのセルフコントロールです。
また、「痩せていれば成人病とは無縁」という思い込みも危険です。痩せすぎ女性はインスリンを分泌する膵臓の機能や筋肉量が落ちているため、糖を効率的に代謝できず、むしろ食後高血糖(血糖値スパイク)を起こしやすいことが明らかになっています。「痩せているのに糖尿病予備軍」という隠れたメタボリックリスクは、若年層の低体重女性に急増している見落とされがちな盲点です。