マグロは止まると即窒息?呼吸の仕組み「ラム換水法」と睡眠の真相

マグロは止まると即窒息?呼吸の仕組み「ラム換水法」と睡眠の真相

マグロは止まると即窒息?呼吸の仕組み「ラム換水法」と睡眠の真相とはどのようなものなのか? 主要なファクトを整理してお届けします。

なぜマグロはこれほどまでにリスクの高い呼吸様式を選んだのでしょうか。その背景には、一般魚類とは比較にならない莫大なマグロの酸素摂取量と代謝システムがあります。

マグロは魚類でありながら、奇網(奇脈網:向流熱交換器)と呼ばれる特殊な血管網を持ち、体温を周囲の水温より10℃〜15℃以上も高く維持する「内温性(半恒温性)」を獲得しています。筋肉を温かく保つことで外洋の冷たい深海でも爆発的な運動性能を発揮できる反面、その代謝率と酸素消費量は沿岸の底生魚に比べて桁違いに高くなっています。

項目詳細・数値データ一般的な基準・相場編集部の見解・評価呼吸方式完全なラム換水法(受動換水)口腔ポンプ換水法(能動的開閉)エラ筋の維持エネルギーを捨て推進力へ完全特化。通常巡航速度時速3〜7km(夜間は時速2〜3km)時速1km未満〜静止人間が歩く〜早歩きのスピードで24時間航行。最大瞬間速度時速60〜80km(捕食・突進時)時速10〜25km前後高速道路の自動車に匹敵する海中屈指のスプリンター。エラ表面積比率体重比で一般魚類の約5〜10倍標準的な表面積超極薄の血管膜で高効率換水を行う特化型フィルター。カツオとの差異深海潜行能力・大型化に伴う内温性の向上表層回遊が中心同じラム換水法だがマグロの方が熱保持能が高い。

ラム換水法は、魚自身がエラを動かす筋肉エネルギーを消費せず、遊泳の前進エネルギーをそのまま呼吸換水に利用できる極めてエネルギー効率の高い方式です。広大な外洋を何千キロも移動する回遊魚にとって、泳ぎ続ける限りは無駄な呼吸エネルギーを使わずに済む究極の合理化システムといえます。

山崎 陸
著者

山崎 陸

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。