スポーツの現場や日常生活で「親指を突いてしまった」と来院する患者のなかに、明らかな靭帯断裂や剥離骨折を放置して慢性化させてしまった例が後を絶ちません。他の4本の指と異なり、親指の付け根(MP関節・CM関節)は可動域が広く、物をつまむ・握るといった強い負荷に耐えうる特殊な構造を持っています。
それだけに、ボールが指先を外側に押し広げるような外力が加わった際、関節を支える側副靭帯や骨組織にダイレクトな剪断力が集中します。「数日経てば腫れも引くだろう」と親指の付け根が痛いのに湿布で冷やすだけの対処を続けた結果、関節の緩みが残り、ペットボトルのキャップを開けられない、ペンを握れないといった後遺症に悩まされる事例が頻発しています。