品格ある英国紳士の装いを崩さず、いかなる無理難題も「ファントムハイヴ家の執事たるもの、この程度の技量がなくてどう致します?」と微笑んで片付けるセバスチャン。しかし、その正体は数百年、あるいは数千年以上の時を生きる高位の悪魔です。彼が執事として振る舞うのは、あくまで主であるシエルとの契約を遂行するための手段に過ぎません。
劇中で垣間見える悪魔本来の姿は、人間の理解を超絶した禍々しさに満ちています。黒い羽根や鋭利な爪、無数の目や牙が蠢く不定形の影など、作品随所で描かれる真の姿は読者に強い恐怖を植え付けました。彼にとって人間の倫理や道徳、愛や情愛といった概念は観察対象としての興味に過ぎず、根本的には冷徹で捕食者としての本能に従って行動しています。
演じる声優の小野大輔氏は、過去の公式インタビューや特番において「セバスチャンを演じる際は、人間的な感情に寄り添いすぎず、底知れない冷たさと残酷なまでの美学を常に意識している」と語っています。甘美な声の響きの中に潜む底なしの暗黒こそが、悪魔としての目的である「極限まで研ぎ澄まされた極上の魂を喰らうこと」を際立たせているのです。