『かみちゃまかりん』が今なお「鬱展開の代表格」として語られる最大の要因は、コゲどんぼ作品特有の圧倒的に愛らしい美少女絵柄と、描かれるストーリーのえげつない残酷さのギャップにあります。連載当時の少女漫画誌『なかよし』は、『美少女戦士セーラームーン』や『カードキャプターさくら』の系譜を継ぐファンタジーが読者を惹きつけていましたが、本作が提示したテーマは小学生読者のキャパシティを遥かに凌駕していました。
物語の冒頭こそ、両親を亡くし叔母に虐げられていた少女・花園花鈴が、神の力を宿す指輪を手に入れて人生を好転させていくサクセスストーリーとして幕を開けます。しかし、烏丸家との戦いが激化するにつれて、登場人物たちの出生の秘密や神化システムの代償が次々と露呈。「誰ひとりとして普通の人間として生まれてきていない」という倫理観を揺るがすディストピア的な真実が明かされ、読者を底知れぬ絶望へと突き落としました。