前日計量をパスした直後から、選手たちにとって最も重要な「リカバリー(体重戻し)」が始まります。ここで焦って冷たい水や固形物を一気に胃に流し込むと、胃痙攣やショック症状を引き起こすため、分単位での精密な補給計画が求められます。
計量直後は、まず経口補水液(ORS)や常温のアイソトニック飲料を用い、失われた水分と電解質(ナトリウム、カリウム、マグネシウム)をゆっくりと補給します。糖質を同時に摂取することで水分の吸収速度を高め、枯渇した筋グリコーゲンを再合成させます。
胃腸の活動が落ち着いた段階で、消化に良い炭水化物(おかゆ、うどん、餅など)を中心に固形物を摂取し、試合当日までに元の体重近くまで戻していきます。トッププロになると、計量から試合開始までの約30時間で5kg〜8kg前後の体重を戻すことも珍しくありません。このリカバリーの成否が、打撃の威力や打たれ強さを左右します。