ドラッグストアなどで数百円から手に入る「エアコン内部洗浄スプレー」ですが、清掃業界や家電メーカーの技術者の間では、一般ユーザーが使用することに対して強い警鐘が鳴らされています。
なぜ洗浄スプレーやってはいけない理由としてこれほど強く指摘されるのか。その背景には、構造上の決定的な欠陥と事故リスクが存在します。
第一のリスクは、「電装部への薬剤付着による発火事故」です。エアコンの心臓部である基板やファンモーター、端子部分は、熱交換器(アルミフィン)のすぐ真横に配置されています。市販スプレーの噴射圧は弱く、狙った場所以外にも薬剤ミストが広範囲に飛散します。基板に付着した界面活性剤や水分がホコリと結合し、通電時にトラッキング現象を引き起こして火災に至るケースが、NITEの事故調査報告でも毎年多数公表されています。
第二のリスクは、「すすぎができないことによるカビの栄養源化」です。プロのエアコンクリーニングでは、専用の高圧洗浄機を用いて10〜20リットルもの大量の水で洗剤と汚れを徹底的に洗い流します。しかし、市販スプレーは吹きかけるだけで「洗い流す工程」が存在しません。溶け出した汚れとスプレー成分がアルミフィンの奥やドレンパン(結露水の受け皿)の底にヘドロ状に堆積し、数週間後には以前よりも強烈な悪臭とカビの温床へと変貌してしまうのです。
さらに、溶けたホコリの塊が排水ホース(ドレンホース)内部に詰まることで、冷房運転時に発生した結露水が外へ排出されず、室内機の吹き出し口から水が滝のように漏れ出して家電や床を水浸しにする二次被害も頻発しています。