ネット上の掲示板や知恵袋、SNSを調査すると、非正規ルートで購入したユーザーの生々しい体験談が数多く見つかります。都内のまつ毛サロンに勤務するトップアイリストへの取材では、次のような実情が語られました。
「お客様から『他店やネットで買ったラッシュアディクトの効果が出ない』と相談されて実物を見せてもらうと、キャップの重量感が明らかに軽かったり、筆先がバサバサに開いていたりするケースが月に数件はあります。中には、使い始めて数日で上まぶたが真っ赤に腫れ上がり、皮膚科でステロイドを処方された方もいらっしゃいました。本物のラッシュアディクトはナノ化ペプチドなどの高価な有効成分が凝縮されていますが、偽物は基材の防腐処理すら杜撰なものが混ざっています」(都内アイラッシュサロン店長)
実際に、フリマアプリで「サロンで購入した正規品」と謳う出品者から7,000円台で購入したユーザーの手記には、次のような後悔が綴られています。
「届いた商品は箱もシリアルナンバーも付いていて安心しきっていました。ところが塗った直後から激しい痒みに襲われ、翌朝には目が開かないほどパンパンに。出品者に問い合わせたところ即座にアカウントが削除され、連絡が取れなくなりました。皮膚科の受診費用と薬代で結果的に定価以上の出費になり、最初から信頼できるサロンで買えばよかったと骨身にしみました」(30代会社員の手記より)
消費者が「偽物かもしれない」と心のどこかで疑いながらも購入ボタンを押してしまう背景には、「わずかでも安く手に入れたい」という損失回避バイアスと、「自分だけは騙されないはずだ」という正常性バイアスが複雑に絡み合っています。しかし、その甘い見通しが招く代償は、金銭的損失だけに留まりません。