原作漫画が築き上げた上質な空気感は、テレビアニメシリーズにおいても極めて高い解像度で再現されました。本作の映像化において最も注目されたのが、キャラクターの微細な心理描写を託された声優キャスト陣の配役です。
堅実で生真面目ながら結衣に対して深い包容力を見せる立石真直役には、確かな演技力で定評のある山下誠一郎を起用。感情をむやみに爆発させず、抑えたトーンの中に確かな愛情とビジネスパーソンとしての責任感を滲ませる演技は、原作読者からも絶賛されました。一方、仕事熱心で勝ち気な一面と、真直の前だけで見せる愛らしい甘えのギャップが魅力の三ツ谷結衣役を演じたのは宮本侑芽です。宮本が持ち前の瑞々しい声質で表現した「恋する働く女性のリアリティ」は、視聴者の共感を強く牽引しました。
さらに脇を固める同僚キャラクターの存在感が、オフィス内の日常風景に抜群のリアリティを与えています。面倒見のいい先輩・早川静乃役を演じる伊藤静の安定感ある語り口、同期として絶妙な距離感を保つ染井恵介役の土田玲央、愛嬌と鋭さを兼ね備えた森園まりあ役の大地葉など、声優陣の掛け合いは実際のオフィスで交わされる雑談そのもの。アニメーション制作を手掛けたスタッフ陣による、デスク周りの小道具や製菓会社ならではのオフィス環境の描写も相まって、深夜アニメ枠でありながら良質なヒューマンドラマとしての風格を確立しました。