台風や熱帯低気圧の進路予想を確認する際、気象庁の公式発表とともにインターネット上で注目を集めるのが、アメリカ海軍と空軍が共同で運営する米軍進路予想(JTWC:Joint Typhoon Warning Center)です。防災意識の高いユーザーの間では標準的な情報源として定着していますが、両者には採用している基準や目的において根本的な相違があります。
最も大きな違いは、最大風速の算出方法です。日本の気象庁が世界気象機関(WMO)の基準に則り「10分間平均風速」を採用しているのに対し、米軍JTWCは米国の気象基準である「1分間平均風速」を用いています。突発的な突風のピークを反映しやすい1分間平均のほうが、10分間平均に比べて数値が約1.15〜1.25倍ほど高く算出されます。そのため、同じ熱帯低気圧であっても、気象庁がまだ台風と認めていない段階で、米軍側ではすでに「トロピカル・ストーム(台風相当)」として追跡警報を発令しているケースが多々生じます。
進路予想を見る際は、どちらか一方だけを盲信するのではなく、米軍情報で早期の渦形成兆候を捉えつつ、国内の避難判断や交通機関の運行停止予測には気象庁の進路予報円と警報・注意報を照合するのが最も堅実なアプローチです。