『鋼の錬金術師』における敵役「ホムンクルス」たちは、7つの大罪(七つの大罪)の名を冠しています。彼らの最期は、自らの名が冠する罪悪の鏡写しのような皮肉な結末を迎える構造になっており、読者に強烈な印象を植え付けました。
原作におけるホムンクルスの退場プロセスを整理すると、以下の通りです。
- ラスト(色欲):マスタングの容赦ない連続火炎錬成を受け、核である賢者の石を焼き尽くされて消滅。最期に「私を殺す男が素晴らしい男で良かった」と美学を残す。
- グラトニー(暴食):腹を空かせ暴走する中、味方であるプライドに「能力の補充」として喰い殺されるという究極の皮肉。
- エンヴィー(嫉妬):マスタングに復讐の炎で追い詰められた後、エドから「人間を妬んでいた」という本質を暴かれ、屈辱に耐えかねて自ら核を破壊して自決。
- スロウス(怠惰):オリヴィエ&アレックス・アームストロング姉弟とシグ・カーティスの猛攻を受け、「生きることも死ぬこともめんどくせぇ」と呟きながら力尽きる。
- ラース/キング・ブラッドレイ(憤怒):スカーとの死闘の果てに敗北。「私が選んだ唯一のもの」である妻への想いを胸に、静かに笑みを浮かべて散る。
- プライド/セリム(傲慢):自ら見下していた人間(エド)の肉体を奪おうとするが逆転され、本来の無力な赤子の姿へと還元される。
- グリード(強欲):仲間を欲する自分自身の「本当の望み」を自覚し、お父様の体内からエドたちを助けるために自らを犠牲にして散る。
すべてを手に入れようとしたグリードが「仲間を得たことで心が満たされた」と満足して逝き、人間を見下していたエンヴィーが人間への羨望を自覚して自滅するなど、敵側の内面描写の深さがドラマに圧倒的な厚みをもたらしています。