ネット上の情報空間には、星座の変わり目に関して多くの俗説や誤解が氾濫している。特に注意すべき2大バイアスを検証する。
第1の誤解は、「5月21日の星座どっち問題は、占星術師の流派が適当だから日付が曖昧になっている」という言説だ。これは完全に天文学的教養を欠いた誤認である。先述の通り、日付の揺らぎは地球の公転軌道と自転速度の端数(うるう年計算)という厳密な宇宙物理現象に起因している。信頼できる占星術ソフトウェアでは、協定世界時(UTC)と日本標準時(JST)の時差をミリ秒単位で計算し、太陽黄経を割り出している。曖昧なのは人間のカレンダーの側であり、宇宙の天体運行には1秒の狂いもない。
第2の誤解は、「カスプ(境界)生まれの人は、2つの星座の性質が50%ずつブレンドされた全く新しい『第13の星座』になる」という極端なカスプ神話だ。現代の学術的な西洋占星術において、太陽の度数は「牡牛座29度59分」か「双子座0度0分」のいずれか1点にしか存在できない。天文学的に太陽の重心が境界線を越えた瞬間、サインはデジタルに切り替わる。
では、なぜカスプ生まれの人が両方の性質を実感するのか。その真相は、ホロスコープにおける水星や金星の配置にある。太陽系の構造上、水星は太陽から最大28度、金星は最大48度までしか離れることができない。そのため、太陽が牡牛座の最終度数にある人は、水星やすでに双子座に入っている可能性が極めて高く、逆に太陽が双子座の初期度数にある人は、金星が牡牛座に残っている確率が高いのだ。つまり「星座が混ざっている」のではなく、「太陽とは異なる別の天体が隣の星座に位置している」ことが、多面的な複合パーソナリティを作り出す真のメカニズムである。