前田道路を語る上で避けて通れないのが、2020年に経済界を大きく揺るがした前田道路 TOB 経緯です。
もともと前田建設工業が筆頭株主(持分法適用関連会社)であった前田道路ですが、独立志向の強かった前田道路経営陣に対し、前田建設工業が2020年1月に事前合意のない「敵対的TOB(株式公開買付)」を発表。前田道路側は臨時株主総会での特別配当(総額約535億円の巨額配当)を打ち出すなど猛烈に対抗しましたが、結果として前田建設側が過半数の株式を取得し、TOBは成立しました。
その後、2021年10月には前田建設工業、前田道路、前田製作所の3社が経営統合し、共同持株会社であるインフロニア・ホールディングス(INFRONEER Holdings Inc.)が発足。前田道路は同社の完全子会社となりました。この再編により、現在の前田道路 親会社はインフロニア・ホールディングスとなっています。
買収当初は「前田道路独自の自由な企業文化が失われるのではないか」「グループ内の下請け化が進むのではないか」といった現場の懸念や反発が報道各社でも取り沙汰されました。しかし統合後の現在、土木・建築・道路・機械のインフラ総合サプライチェーンが確立されたことで、大型コンセッション事業(空港や有料道路の運営受託)や脱炭素インフラの共同受注など、単独では獲得できなかった大規模プロジェクトへの参画が進むというポジティブなシナジーが発現しています。