警察官僚が霞が関の内勤だけで出世することは絶対に不可能です。キャリア官僚の適性を篩(ふるい)に掛ける最大の試練が、警察庁 地方出向 署長としての実務経験と、各都道府県警察本部の要職勤務です。
30代に入ると、キャリア組は地方警察署の署長として赴任します。年上のベテラン署員数百名を束ね、地域住民の生命と財産を守る最高指揮官として、重大事件の初動指揮やメディア対応、地域自治体との折衝を一身に背負います。ここで判断を誤り、部下の不祥事や初動捜査の遅れを出せば、エリート街道からの脱落を意味する減点対象となります。
署長経験の後に待っているのが、出世の決定的登竜門である警務部長 エリートポストです。特に神奈川県警、大阪府警、愛知県警などの大規模警察本部や、首都・警視庁の警務部長ポストは、警察庁のエース級キャリアにしか割り当てられません。警務部長は警察内部の人事、監察、総務、予算を一手に握る「影の最高実力者」であり、地方本部を中央(警察庁)の意向どおりに統制する役割を担います。
地方出向時に不祥事の火消しを完遂し、地元政財界やメディアとの摩擦を抑え込みつつ組織を統制した実績こそが、将来の警視監昇任および本省局長ポストを勝ち取るための絶対条件となります。