河井青葉の役者人生におけるひとつの大きな金字塔となったのが、濱口竜介監督による短編オムニバス映画『偶然と想像』(2021年公開)です。第71回ベルリン国際映画祭コンペティション部門で銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞した本作の第1話「魔法(よりもっと不確か)」において、彼女は親友と元恋人の狭間で揺れる複雑な女性の心理を鮮烈に演じ切りました。
タクシーの車内やカフェで繰り広げられる長回しの会話劇において、視線の揺らぎ、声のトーン、息遣いひとつで登場人物の葛藤を体現するその芝居は、国内外の批評家から「奇跡のようなリアリティ」と大絶賛を浴びました。
映画監督やプロデューサー陣の間でも「河井青葉が画面にいるだけで作品の強度が上がる」と評されており、人間の業や弱さ、美しさを誇張なく描き出す職人的な演技力は、同世代の女優の中でも群を抜いた評価を獲得しています。