病院の礎を築いた歴史を紐解くと、社会福祉法人恩賜財団済生会が掲げる「施薬救療」の理念に行き着く。生活困窮者を見捨てない仁術の志は、時代が変わっても組織の毛細血管にまで行き渡っている。だが、精神論だけでは近代医療の荒波は乗り切れない。
かつて病院改革を牽引した河野宏名誉院長らが打ち出したのは、民間企業顔負けの病院経営管理手法だった。クリニカルパス(標準治療計画表)の徹底導入によって医療の質を標準化し、入院日数を適正化。浮いた経営資源をさらなる先端技術へ再投資する好循環を生み出した。慈恵の心と怜悧な経営眼。この両輪が揃って初めて、高度医療の灯は守られる。