日本のポップカルチャーにおいて「巨人」という言葉が持つ重みは、野球界だけに留まらない。昭和を代表する野球漫画『巨人の星』では、血の滲むような特訓とジャイアンツへの献身が美徳として描かれた。一方で、2010年代以降の世界的大ヒット作『進撃の巨人』が提示したのは、圧倒的な力を持ち人々を脅かす抗えない壁としての巨大な存在だった。
この2作品のモチーフの変遷は、図らずも日本人が抱く「巨人」への心理的イメージの変化を物語っている。スポコン精神の象徴だった球団が、やがて他球団やアンチファンにとって打ち倒すべき「進撃」の対象、すなわち支配者としての壁に見えるようになったのだ。カルチャーの深層においても、巨人は常に「圧倒的強者」の代名詞であり続けている。