静寂をまとう普段の境内とは打って変わり、毎年5月上旬に開催される「水天宮春季大祭」は、町全体を熱狂で包み込む。江戸時代から続く伝統行事であり、周辺の河川敷には数多くの露店が立ち並び、九州各地から数十万人の参拝客が押し寄せる。
この大祭は単なる神事にとどまらず、地域の観光・旅行業にとっても年間最大のハイライトとなっている。久留米市内の宿泊施設は数ヶ月前から予約で埋まり、名物の久留米ラーメンや筑後うどんの老舗には長蛇の列ができる。
水天宮の神輿が町を巡行する姿は、地域コミュニティの絆を確かめ合う祝祭空間そのものだ。水難から人々を守り、五穀豊穣と子孫繁栄を祈る掛け声が、新緑の筑後平野に高らかに響き渡る。