境界線を失ったサセンファンが抱く心理構造は、一般的なファンダムのそれとは根本的に異なる。彼らを突き動かしているのは「相手を愛している」という純粋な感情ではなく、「自分だけの特別な存在として認知されたい」という病的な支配欲だ。たとえ相手に恐怖を与え、憎悪を買うことになろうとも、無関心でいられるよりは自分の存在を刻み込みたいという歪んだ自己顕示欲が根底にある。
こうした執着は、閉鎖的なコミュニティ内で過激さを競い合う悪循環を生む。アイドルの電話番号を入手して深夜に通話を試みたり、宿舎のインターホンを鳴らして怯える表情を盗撮したりする行為が、グループ内でのヒエラルキーを誇示するトロフィーとして扱われてしまう。健全なファンコミュニティから完全に排斥された結果、彼らはアンダーグラウンドな情報売買ネットワークを形成し、より狂信的で組織的なストーカー集団へと先鋭化していった。