作品の核となる主人公・クミを演じた太田久美子の存在感は、映画史全体を見渡しても極めて異様だ。セリフの量に頼ることなく、全身の佇まいと鋭い眼光だけで都市の廃墟に生きる女性の生と野生を表現してみせた。彼女のしなやかでありながらどこか崩壊を孕んだ佇まいは、観る者を一瞬でスクリーンの中へと引きずり込む。
そして作品に独特の歪みとパンク精神を注入しているのが、ミュージシャンであり作家としても才能を発揮する町田町蔵(現・町田康)の出演だ。彼が画面に登場するだけで空気は一変し、不穏な緊張感が漂い始める。太田久美子と町田町蔵という異質な個性の衝突によって生み出された化学反応こそが、作中の「庭」に漂う異常な熱気と刹那的な美しさを底上げしている。