6つ子の三男である松野チョロ松は、真面目で常識的、そして就職意欲がある「唯一のまともな大人」として描かれることが多い。しかし、物語が進むにつれて露呈するのは、自意識の過剰さやアイドルオタクとしての極端な行動力だ。一見すると兄弟たちの暴走を止めるストッパーだが、一度自分の欲望やプライドが刺激されると、誰よりも奇抜で痛々しい行動へと走ってしまう。
制作スタッフの初期構想や設定ドキュメントを辿ると、彼のこの「自意識の肥大化」こそが、作品全体のコメディ構造を駆動する隠れたエンジンになっていることがわかる。ギャグアニメの歴史において、ツッコミ役が同時に最大のボケ役へと反転する展開は決して珍しくないが、彼の持つ「イタさ」と「哀愁」の絶妙なバランスは、現代社会で苦悩する若者像のパロディとしても機能しているのだ。