チャートを席巻し、テレビ番組やフェスに引っ張りだことなった日々。その狂騒は、アーティストSoulJaの精神をすり減らしていった。周囲から求められるのは「第二のここにいるよ」であり、定型化されたラブソングの再生産だったからだ。
「同じことを繰り返すなら、音楽をやめる」。そう周囲に告げた彼は、テレビカメラの前から静かに身を引いた。引退説や死亡説といった無責任な噂がネット上を駆け巡る中、本人は拠点を海外へと移し、スタジオワークに没頭していた。作家やプロデューサーとして他アーティストへの楽曲提供やアレンジを手掛けつつ、自らの表現したい音をゼロから再構築する日々。ヒットチャートのプレッシャーから完全に解放された空間で、彼は自身のルーツであるビートメイキングや弦楽器の生演奏を取り入れたハイブリッドなサウンドを磨き上げていたのだ。