当事者である岩崎宏美にとって、コロッケのパフォーマンスは当初、手放しで歓迎できるものではなかった。「自分の歌が笑いものにされているのではないか」という困惑や戸惑いがあったのは当然のことである。ネットもSNSもない時代、周囲の尾ひれも手伝って「共演NG」「激怒」といった噂がメディアを駆け巡った時期もあった。
しかし、事態を一変させたのはコロッケ本人の誠実な姿勢だった。彼は番組の企画や楽屋訪問の際、毎回のように恐縮しきりで平身低頭の謝罪を行い、岩崎に対する本気のリスペクトを伝え続けたという。岩崎自身も、彼のパフォーマンスが単なる悪意ある冷やかしてはなく、緻密な観察眼と血のにじむような努力に裏打ちされた「極上の芸」であることを見抜いていく。困惑はいつしか呆れと感心へ、そして圧倒的な寛容さへと変わっていった。