1995年、三谷幸喜と実力派女優の小林聡美の結婚は、おしどり夫婦の象徴として世間から祝福された。劇団「東京サンシャインボーイズ」の主宰として頭角を現し、田村正和主演の『古畑任三郎』で社会現象を巻き起こしていた時代の三谷にとって、小林は公私ともに最大の理解者であった。
だが、2011年5月に突如として発表された離婚は世間を驚かせた。連名で発表されたファクスには「理由はひとつではない」と記され、憎しみ合っての別れではないことが強調されていた。多忙を極める脚本家としての生活リズム、猫好きの小林と犬を愛する三谷の細かな生活習慣の相違。些細な日常の積み重ねが、16年の歳月を経て少しずつ二人の距離を広げていった。
泥沼の愛憎劇とは無縁の、あまりにも静かで紳士的な幕引き。それは互いの才能と人間性を認め合っていたからこその選択であり、三谷にとっても自らの生き方を見つめ直す大きな契機となった。