19世紀半ば、急速な工業化と人口爆発に直面していたニューヨークで、壮大なオアシスの設計を託されたのが造園家フレデリック・ロー・オルムステッドと建築家カルヴァート・ヴォークスだった。二人が共作した「グリーンスウォード・プラン」は、単に樹木を植える計画ではない。身分や貧富の差を超え、あらゆる市民が平等に自然を享受できる民主的空間を目指すという、極めて先駆的な社会実験だった。
荒れた岩場と沼地を均し、数十万本の木を植え、人工の湖や起伏に富んだ丘を造り上げた彼らのヴィジョンは、160年以上を経た現在も損なわれていない。起伏に富んだラムブル地区の深い森を歩けば、ここが人工的に作られた空間であることを忘れてしまう。オルムステッドとヴォークスが描いた緻密な景観美は、現代人の疲れた精神を今なお静かに包み込む。