昭和から平成、そして令和へ。館山周辺の海辺は、常に映像クリエイターたちを惹きつける特別な磁場を持ち続けてきた。1990年代に社会現象を巻き起こした名作ドラマ『ビーチボーイズ』で描かれたあの開放的な海辺の原風景は、今なお多くのファンの記憶に鮮烈に刻まれている。作中の民宿を思わせる木造のロッジやカフェを巡る旅人は後を絶たない。
近年では、定額制動画配信サービスの世界的な普及がこの流れを加速させている。Netflixで世界配信されたオリジナル作品や長編映画のロケ地として南房総の海岸美が起用され、海を越えた外国人観光客の足掛かりとなった。さらに、NHKオンデマンドなどで過去の大河ドラマや地域発ドラマが再評価される動きも連動し、現地を訪れて物語の追体験を楽しむ「ロケーションツーリズム」の熱量はかつてない高まりを見せている。
ただ景色を眺めるのではない。かつてスクリーン越しに憧れた「あの光と風」を自らの肌で体感する。館山の海岸線には、物語と現実をシームレスにつなぐ独自の情緒が漂っている。