SNSや医療相談掲示板では、「野菜中心の健康的な食生活を始めたら足の裏が黄色くなり、重大な病気かと怯えた」という投稿が散見される。身体に良いとされる緑黄色野菜を積極的に摂る行動自体は称賛されるべきだが、過剰摂取による外見の変化が思わぬ精神的ストレスを招くケースは珍しくない。
一方で、医師が臨床現場で注意を促す「見落とされがちな盲点」も存在する。それは、食事量を増やしていないにもかかわらず柑皮症の症状が出現するケースである。具体的には以下のような基礎疾患が隠れている場合だ。
- 脂質異常症(高コレステロール血症):カロテンは脂溶性であり、血液中の低比重リポ蛋白(LDL)などと結合して運ばれる。血中脂質濃度が高いとカロテンの滞留時間も延び、皮膚へ沈着しやすくなる。
- 甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモンの分泌が低下すると代謝機能全般が落ち、肝臓でβ-カロテンをビタミンAへと変換する酵素活性が低下する。その結果、血中の未変換カロテン濃度が上昇して皮膚が黄色くなる。
- 糖尿病やネフローゼ症候群:全身の代謝経路や排泄機能の乱れから、カロテノイド代謝が停滞することがある。
「みかんも野菜ジュースもほとんど口にしていないのに、数週間以上手足が黄色い」という場合は、単純な過剰摂取ではなく、こうした基礎疾患による代謝遅延を疑う視点が不可欠である。