静寂と歴史が同居するロンドンの街並み。2012年、半ば衝動的とも思える決断で渡英したふたりだったが、そこでの暮らしは彼らの音楽と思考に劇的な変化をもたらした。日本ではどこへ行っても顔を知られ、カメラの視線や熱狂的なファンに囲まれる日々。しかし、一歩海外へ出れば、誰もがただの「一人のアーティスト」であり「生活者」に過ぎない。
ロンドンの冷ややかな雨や、古い街並みに差し込む柔らかな光。その環境下で過ごす時間は、余計な装飾を削ぎ落とす作業でもあった。生活の拠点を徹底してプライベートな空間として保ちながら、音と向き合う時間をじっくりと確保する。この14年という歳月は、日本での成功に甘んじることなく、常に自らをアウェーの環境に置くことで得られた最高のご褒美だったのかもしれない。