『ありがとう』は、リリース同年の『第57回NHK紅白歌合戦』(2006年)において白組トリとして歌唱され、社会現象としての存在感を決定づけました。晴れ舞台で5人が肩を並べ、飾り気のない笑顔で歌い上げたステージは、グループの円熟期を象徴する名シーンとして記憶されています。
しかし、この楽曲が持つ意味合いは、2016年のグループ解散を契機にさらに深まることとなりました。解散発表に伴い実施されたベストアルバム『SMAP 25 YEARS』のファン投票において、『ありがとう』は全400曲以上の候補の中から第2位という驚異的な得票を獲得しました。
当時、SNSやファンコミュニティでは「SMAPから私たちへの感謝ではなく、私たちからSMAPへ『25年間ありがとう』を伝えるための投票」という声が多数上がりました。本来は作り手から受け手へ届けられたはずの言葉が、今度は受け手から作り手へと送り返されるという「感情の双方向性」が成立した瞬間であり、アイドルの楽曲がひとつの文化的共有財産へと昇華した瞬間でもありました。