男性の生体内に高濃度のエストロゲンを注射投与すると、脳の下垂体にネガティブフィードバックがかかり、男性ホルモン(テストステロン)の分泌が強力に抑制されます。これにより、女性ホルモン投与による男性の変化は全身の組織に段階的に現れます。
まず自覚されやすいのが肌質と皮下脂肪の分布変化です。皮脂の分泌量が激減して毛穴が引き締まり、キメの細かい質感へと変化する一方、内臓脂肪が落ちて腰回りや太もも、胸部へ皮下脂肪が優先的に蓄積されるようになります。また、体毛(すね毛や腕毛)の伸長スピードが鈍化し、軟毛化していくことも臨床で確認されています。
特に顕著な兆候が女性化乳房の経過と痛みです。投与開始から数週間から数か月ほどで、乳首の奥に硬いしこり(乳腺組織)が形成され始め、服が擦れるだけで強い圧痛を覚える時期が訪れます。この乳腺の発達は脂肪沈着とは異なり、本格的な乳房組織の形成であるため、ホルモン投与を中断しても自然に縮小・消失することはありません。