「弁当忘れても傘忘れるな」という金沢の有名な格言は、単なる口伝の教訓ではない。数値データがその正当性をしっかりと裏付けている。気象庁の統計によると、金沢市の年間降水日は約170日前後。1年のうち半分近くは何らかの形で雨や雪が降っている計算になる。これは全国の都道府県庁所在地と比較してもトップクラスの多さだ。
さらに注目すべきは、降水量の「質」である。太平洋側の都市のように「一日中しとしとと降り続く雨」ばかりではない。金沢の雨は、急激に降り出しまもなく去る「時雨(しぐれ)」が多い。晴れ間が見えたと思って油断して外に出ると、わずか15分後に激しい雨に見舞われる。地元住民の鞄に必ず折りたたみ傘が入っているのは、気象データに基づいた極めて合理的な防衛手段なのだ。