「自分はまだ起きている」という過信が命取りになる。警察庁が発表する交通事故分析によれば、漫然運転や居眠り運転による死亡事故率は、単純な脇見運転の数倍に跳ね上がる。ドライバー自身が制動動作を一切行わないまま、ノーブレーキで衝突するためだ。
ここで理解すべきは「マイクロスリープ(微小睡眠)」の恐ろしさだろう。人間は極度の眠気に襲われると、目を開けたまま数秒間だけ脳の活動が停止する状態に陥る。日本自動車連盟 (JAF)が行った走行テストでも、眠気を我慢しながら走行を続けた被験者は、知覚反応が鈍化して車線を大きく逸脱し、本人が自覚しないまま数秒間の意識断絶を繰り返していた。
「あくびが連続して出る」「直前の数キロの風景を思い出せない」「無意識に車線が寄ってしまう」。これらは前兆ではない。すでに脳がシャットダウンを始めている緊急事態のサインだ。