熊本地震を巡っては、現在でもいくつかの重大な誤解が存在します。地質学的・地震学的な事実を検証します。
誤解1:「熊本は地震が少ない地域だった」という神話
地震発生当時、「九州・熊本は地震が起きない安全な場所だと思っていた」という声が多く聞かれました。しかし、これは明確な誤認です。熊本県地震履歴を紐解くと、1889年(明治22年)の熊本地震(M6.3)や、古くは1625年の肥後・薩摩地震など、数十年から数百年のスパンで被害地震が繰り返し発生しています。
誤解2:「活断層は一度動けば次は数千年間安全」という盲点
熊本地震を引き起こしたのは、熊本県下を縦断する布田川断層帯と日奈久断層帯です。2016年に破壊されたのは、布田川断層帯のほぼ全域(布田川区間)と日奈久断層帯の一部(高野-白旗区間)に限られています。
活断層地震周期の観点から見ると、動いた区間については応力が解放されたものの、南側に連なる日奈久断層帯の「日奈久区間」および「八代海区間」は動いておらず、むしろ2016年の地震によって周辺断層への応力集中が高まった可能性が専門家から指摘されています。