山口智子さんが「子供を持たない人生」を強く望むようになった根底には、幼少期に経験した複雑な家庭環境と生い立ちが深く関わっています。
栃木県栃木市にある江戸時代創業の老舗旅館に生まれた山口さんは、幼い頃から「旅館を継ぐべき長女」としての重圧を背負って育ちました。しかし、家庭内では両親の不仲が続き、小学校時代に両親が離婚。母親と妹が家を出ていくなか、山口さんは実家に残り、父親と祖母の手によって育てられました。
家業の維持と「血筋」「跡継ぎ」を至上命題とする伝統的な環境で育つなかで、山口さんは血縁という枠組みそのものに対して強い違和感と息苦しさを抱くようになったと述懐しています。
「血のつながりがあるからといって、無条件に幸せな家族になれるわけではない」という幼少期の原体験は、大人になってからの家族観に決定的な影響を与えました。形式的な家族制度や血縁の連鎖に縛られるのではなく、「互いを一人の人間として尊重し合える絶対的なパートナー」と新たな人生を創り上げたいという思いが、子供を作らない選択へとつながっていったのです。