物語の主人公・寝太郎は、生まれてから3年3か月もの間、寝床から起き上がることなくゴロゴロと過ごしていました。村人や父親から「大だらけ(大怠け者)」と罵倒されても、用を足す以外はただひたすら天井を見つめて横たわる日々を送ります。
そんなある年、村を未曾有の大干ばつが襲います。雨が一滴も降らず、田畑はひび割れ、村中が飢餓の危機に瀕したその時、突如として寝太郎が跳び起きました。寝太郎は父親に「千両箱が入る大きな頑丈な船」と「百石の精米」を用意してほしいと頼み込みます。父親は困惑しながらも財産を投げ打って船と米を工面しました。
寝太郎はその船に乗り、単身で佐渡島(金山)へと漕ぎ出します。そして佐渡の役人に「船の米を鉱夫たちに無料で振る舞いたい」と申し出ました。過酷な労働に苦しんでいた鉱夫たちは大喜びで米を食べ、船を空にします。寝太郎は米の代金を一切受け取らず、ただ一つ「船の底をきれいに洗わせてほしい」とだけ頼んで村へ帰還しました。
村に戻った寝太郎は、船底に溜まった泥や砂を丁寧に水で洗い流します。すると、鉱夫たちの足の裏に付着していた佐渡の大量の金粉・砂金が沈殿しました。手に入れた莫大な資金を元手に、寝太郎は数千人の人手を雇って山を切り拓き、近くの大きな川から水を引くための大規模な灌漑用水路を完成させます。水が行き渡った村の田畑は見違えるような美田へと生まれ変わり、村人たちは飢餓から救われました。寝太郎はその後も私腹を肥やすことなく村の繁栄に尽くし、幸せに暮らしたという鮮やかな結末を迎えます。