「脂っこい豚骨ラーメンや揚げ物は普段から控えているのに、なぜ中性脂肪が200を超えてしまうのか」と首を傾げる受診者は後を絶ちません。実は、中性脂肪が跳ね上がる最大のメカニズムは、肉の脂身や油分の摂取ではなく、糖質とアルコールの代謝過剰にあります。
白米の大盛り、菓子パン、パスタ、清涼飲料水、缶コーヒーなどに含まれる単糖類や炭水化物を摂取すると、血糖値が急上昇します。すい臓から分泌されたインスリンは、余ったブドウ糖を肝臓へと送り込みます。肝臓のグリコーゲン貯蔵タンクが満杯になると、行き場を失った糖質は肝細胞内で猛烈なスピードで中性脂肪へと再合成されるのです。「甘いものや炭水化物ばかり食べていると太る」と言われる生物学的本質は、まさにこの肝臓での脂肪合成回路にあります。
さらに深刻なブースターとなるのが、お酒がもたらす中性脂肪への影響です。体内に入ったアルコールは肝臓にとって最優先で無毒化すべき毒物とみなされます。肝臓がアルコールの分解・代謝に全力を注いでいる間、通常の脂肪酸の酸化(燃焼分解)は完全に停止します。それだけでなく、アルコール代謝の副産物として中性脂肪の合成が異常促進され、血中へのVLDL(超低密度リポタンパク)放出が急増します。深夜の飲酒とともに炭水化物を流し込む行為は、肝臓に「中性脂肪の製造工場」をフル稼働させている状態に等しいと言えます。
加えて、加齢に伴う基礎代謝の低下、慢性的な運動不足による筋肉量の減少、睡眠不足や精神的ストレスによるコルチゾール分泌の乱れも、脂肪の分解を阻害して合成を加速させます。体型がスリムに見える人であっても、内臓の周囲や肝細胞そのものに脂肪が蓄積する「隠れ脂肪肝」を抱えている場合、中性脂肪値は容易に基準値を突破します。