『アンフェア』美央役から20年!向井地美音の激動軌跡と現在

『アンフェア』美央役から20年!向井地美音の激動軌跡と現在

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ドラマ『アンフェア』の初回放送時、視聴者の目を釘付けにしたのは、緊迫した誘拐事件や警察内部の裏切り劇だけではありませんでした。物語の感情的コアを担っていたのが、向井地美音の演じた佐藤美央役でした。美央は、両親の離婚や凄惨な事件を目撃したトラウマから心因性失語症を患い、声を発することができないという、極めてハードルの高い設定を背負っていました。

当時の向井地美音の子役時代における年齢はわずか7〜8歳。小学校低学年でありながら、台本上のセリフに頼ることなく、恐怖に揺れる瞳、母親の手を握りしめる微細な指先の強弱、かすかな呼吸の乱れだけで、心に深い傷を負った幼子の心理を完璧に体現しました。現場に立ち会っていた制作スタッフの証言記録によると、メガホンをとった演出陣は「子役特有の誇張された演技が一切なく、カメラの前に自然に『美央』として佇んでいた」と舌を巻いたといいます。

母親・雪平夏見を演じた篠原涼子と娘役を演じた向井地美音の間には、過酷な撮影現場だからこそ育まれた強い絆がありました。緊迫したサスペンスシーンが連続する中、カメラが回っていない現場では、篠原が冷え切った向井地の手を温め、膝の上に抱き上げてリラックスさせていた光景が多くのスタッフによって目撃されています。孤独な戦いを続ける刑事・雪平の張り詰めた母性愛が画面越しに生々しく伝わってきた背景には、この2人のリアルな信頼関係が存在していました。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。