毎年、法務省と全国人権擁護委員連合会が主催する「全国中学生人権作文コンテスト」には、全国から数十万編規模の応募が寄せられます。これら膨大な作品の中から内閣総理大臣賞や法務大臣賞を射止める全国中学生人権作文コンテストの入賞作品を綿密に分析すると、明確な共通項が浮かび上がってきます。
審査員を唸らせる作品は、決まって「自分だけの生の体験(一次情報)」から始まっています。法務省の募集要項や講評資料を見ても、重視されているのは美辞麗句を並べた評論ではなく、「執筆者が実際に目撃し、傷つき、あるいは自らの偏見に恥じ入った生々しいエピソード」です。
例えば、過去の傑作手記では、次のような「感情のグラデーション」が丁寧に描かれています。
- 日常の些細な違和感:友達の「それって普通じゃないよね」という何気ない一言に覚えた小さな引っかかり
- 自己矛盾の吐露:差別はいけないと頭では分かっていながら、街中で車椅子の人に声をかけるのをためらった自分への嫌悪感
- 相手の視点の獲得:相手と直接対話し、自分の勝手な「哀れみ」や「同情」が傲慢だったと気づく瞬間
文章の上手さそのものよりも、「自己の無知を認める勇気」と「物事を多面的に捉え直す思考のプロセス」こそが、高評価を勝ち取る最大の推進力となります。