ゲーゲンプレスとは?クロップ最強戦術の仕組みと致命的弱点を徹底解剖

ゲーゲンプレスとは?クロップ最強戦術の仕組みと致命的弱点を徹底解剖

ゲーゲンプレスとは?クロップ最強戦術の仕組みと致命的弱点を徹底解剖の基礎知識と応用に迫る! わかりやすい言葉で紐解きます。

サッカーにおけるゲーゲンプレッシング(Gegenpressing)の根底にあるのは、「守備のための守備」ではなく「得点を奪うための守備」という逆転の発想です。ドイツ語の「Gegen(対抗する・反対の)」が示す通り、相手の攻撃への移行に対して真っ向からプレスをぶつけ返す戦法を意味します。

日本国内のサッカー報道や指導現場では「即時奪回」「カウンタープレス」とも呼ばれますが、一般的な「ハイプレス」と混同されがちです。両者の間には、戦術の目的と発動タイミングにおいて明確な境界線が存在します。

ハイプレスは、相手が最終ラインからパスを組み立てる(ビルドアップする)段階で、自チームが守備陣形をあらかじめ整えた状態から前線へ圧力をかけ、特定のエリアへ相手を誘導してボールを刈り取る組織的守備です。対照的に、ゲーゲンプレスが発動するのは「自チームがボールを奪われた瞬間」という完全なトランジション(攻守の切り替え局面)に限られます。

攻撃から守備へ切り替わった直後の敵味方が入り乱れるカオス(混沌)状態において、味方陣内へ後退してブロックを作るのではなく、ボールホルダーへ半径数メートル以内の複数人が瞬時に殺到します。相手に前を向かせず、パスコースを物理的に遮断してパニックに陥らせる点に、この戦術特有の力学が宿っています。

この戦術の礎を築いたのは、レッドブル・グループのサッカー部門を統括し「プロフェッサー」と称されたラルフ・ラングニックのプレス戦術です。ラングニックは「ボールを失ってから8秒以内に奪い返し、奪ってから10秒以内にシュートまで持ち込む」というタイムリミットの概念を導入し、それをドイツのブンデスリーガからイングランドのプレミアリーグへと持ち込んで世界規模のトレンドへと昇華させた立役者こそが、名将ユルゲン・クロップでした。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。